『Koiky』
V. J. Lounek
Ilustroval Artu Scheiner
Alois Hynek Praha、1920´s,
27X22cm 68頁。


ボヘミア（今のチェコ）が生んだ偉大な絵本作家/挿絵画家アルトゥシ・シャイネル (1863-1938)が挿絵を付した動物絵本「KOCICKY（仔猫ちゃん）」です、刊行年の明記は ないものの1920年代後半か、初版です。

シャイネルは日本では唯一冊「金色の髪のお姫さま」が紹介されているだけですが、 もともと美術の専門的教育を受けたことはなく、若い頃はプラハの銀行に勤める傍らこ つこつ書き溜めたイラストを出版社に投稿したり、やがてその実力が認められ絵本作家 、挿絵画家として大成するわけですが、広告などの一枚絵、絵葉書、人形劇の舞台演出 や教会の祭壇画など多彩な作品を残しています。（wikiの記事による）

挿絵画家としては、外国作家を含めた文豪のものはリアルで写実的な画風、自国作家と 組んだ絵本作家としてはユーモラスなタッチが多いですが、その装飾的で確かな描写力 は先輩ミュシャに通じるものがあり、また同時代のユーゲントシュテールやウィーン分 離派の影響なども受けているようです。

この本、チェコ語なので内容は全くわかりませんが、擬人化された犬や猫、ガチョウな ど身近な動物たちの姿や暮らし振りを描いた動物絵本のようで、カラー4点と、多数の モノクロのイラストが楽しい１冊となっています。

オリジナルの原装本、背の布部分の上部イタミ、綴じのユルミあり、全体に使用感のあ る古本です・